弓道の矢を買おうとして最初に戸惑うのは、同じ「6本組」なのに価格の幅がとても大きいことだと思います。
これは、矢の値段がシャフト(矢の軸)の素材と羽根の種類という、性格の違う2つで決まっているためです。逆に言えば、この2つを分けて考えれば、自分に必要な組み合わせはかなり絞れます。
この記事では、値段を決めている要素、矢尺の決め方、そして最初の一組で何を優先すべきかを順に整理します。
矢の値段を決めているのは、シャフトと羽根の2つ
矢は大きく分けて、シャフト(軸)・羽根・矢筈・矢尻でできています。このうち価格差の大部分を作っているのが、シャフトと羽根です。
| 部位 | 価格への影響 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| シャフト(軸) | 大きい | 素材(ジュラルミン・カーボン・竹) |
| 羽根 | 非常に大きい | 鳥の種類と、天然の模様か染めか |
| 矢筈・矢尻 | 小さい | 消耗品として交換できる |
とくに羽根は、素材によって価格が何倍にも変わります。 シャフトの違いより羽根の違いのほうが、最終的な金額に効いてくることが多いと考えてください。
羽根そのものの種類と見分け方は弓道の矢羽根の種類にまとめています。値段を比べる前に、まずここを読んでおくと納得が早いはずです。
シャフトの素材:まずは3つの性格を知る
ジュラルミン
最も広く使われている素材です。 適度な重さがあり、価格も抑えられているため、始めたばかりの人が最初に使う矢はこれが標準的とされています。
利点は、扱いやすさと入手しやすさ。 曲がったときの状態も分かりやすく、同じ規格で買い足しやすい素材です。
カーボン
軽く、しなりの性質がジュラルミンと異なります。 価格はジュラルミンより上がります。
注意したいのは「上級者向けだから良い」という話ではないことです。矢の重さは弓力との釣り合いで決まるため、軽ければ良いというものではありません。 指導者に相談してから移るのが確実です。
竹
伝統的な素材で、価格帯は最も高くなります。 一本ずつ性質が異なり、手入れも必要です。段位や競技の場面、使う目的がはっきりしてから検討する素材と考えてよいでしょう。
矢尺は、自分の体で決まる
矢は「長さが合っていない」と、そもそも安全に使えません。 値段より先に決めるべきなのがここです。
矢尺(やづか)は、矢を番えて引き分けたときに必要な長さから決まります。一般には腕を横に広げた指先から指先までの長さを基準に、そこから決める方法が広く使われています。
ただし、実際の矢尺は引き方によって変わります。 同じ身長でも、引き分けの大きさが違えば必要な長さは変わるためです。
必ず、指導者か取扱店で実際に測ってもらってください。 通販で長さだけを指定して買うと、短すぎて危険、長すぎて扱いにくいのどちらかになりがちです。
弓の側の並寸・伸寸との関係は弓道の並寸と伸寸の違いに、弓力の目安は弓道の弓力の目安にまとめています。矢尺・弓の長さ・弓力は、本来まとめて決めるものです。
弓力と矢の重さは釣り合わせる
矢が軽すぎると、弓の力を受けきれません。 一般に、弓力が強いほど、それに見合った重さの矢が必要になります。
ここは自己判断が難しい部分です。「軽いほうが飛ぶだろう」という考え方で選ぶと、矢にも弓にも良くありません。 弓力が変わったときは、矢もあわせて見直すものだと考えてください。
最初の一組で優先すること
始めたばかりの段階では、次の順番で考えるのが現実的です。
1. 矢尺が合っていること ── ここだけは妥協できません 2. 弓力に見合った重さであること ── 指導者に確認を 3. 本数 ── まずは4本または6本の組で 4. 羽根の種類 ── 価格差が最も大きい部分。ここは後から良いものに移れます 5. シャフトの素材 ── 最初はジュラルミンで問題ありません
つまり、最初の一組で高価な羽根を選ぶ必要はありません。 矢は消耗する道具で、始めたばかりの時期はとくに傷みやすいからです。羽根に費用をかけるのは、扱いに慣れてからでも遅くありません。
道具一式をそろえる際の全体像は弓道具一式の費用と弓道具の値段にまとめています。
中古を検討する場合
矢は中古の判断が難しい道具です。
シャフトの曲がり、羽根の傷み、矢筈の割れ。どれも見た目では分かりにくく、しかも安全に直結します。 そして何より、矢尺が自分に合っているとは限りません。
中古で探すなら、実物を見られる状態で、かつ矢尺が合うものに限ってください。 判断の基準は弓道具を中古で買うときの見方にまとめています。
よくある質問
Q. 何本買えばいいですか。
A. 4本組か6本組が一般的です。 立で使う本数、練習量、傷んだときの予備をどう考えるかで変わります。所属する道場や部活の慣行があることも多いので、まず指導者に確認してください。
Q. 通販で買っても大丈夫ですか。
A. 矢尺が確定していて、同じ規格で買い足す場合は現実的です。 ただし最初の一組は、実際に測ってもらえる取扱店で相談することを強くおすすめします。 長さが合わない矢は、使えないだけでなく危険です。
Q. 羽根が傷んだら、矢ごと買い替えですか。
A. 羽根の張り替えに対応している専門店があります。 シャフトが健全であれば、羽根だけを替えて使い続けられる場合があります。取扱店や道場でつながりのある職方に相談してみてください。
Q. 弓を強くしました。矢も替えるべきですか。
A. 見直すべき場面です。 弓力が上がれば、それに見合った矢の重さが必要になります。そのまま使い続けるとよくないため、指導者に相談してください。
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まとめ
- 矢の値段はシャフトの素材と羽根の種類で決まる。とくに羽根の影響が大きい
- 値段より先に決めるのは矢尺。実際に測ってもらうこと
- 弓力と矢の重さは釣り合わせる。軽ければ良いわけではない
- 最初の一組はジュラルミン+控えめな羽根で十分。羽根は後から移れる
- 中古は矢尺が合うことと実物確認が前提
具体的な選定や矢尺の測定は、お近くの弓道具専門店や、所属する道場の指導者にご相談ください。